原口文仁選手のがんからの復帰が、どれだけ大変なことか
早期がんならともかく、進行がんの患者が仕事に早々に復帰するというのは大変なことです。
病み上がりとは思えない活躍
プロ野球阪神タイガースの原口文仁選手は、今年の1月に大腸がんと診断され、手術と抗がん剤による治療を経て驚異的な回復で6月には一軍公式戦に復帰を果たしました。復帰した打席で適時打、その後もオールスターゲームに選出され、2戦連続で本塁打を放つなど、病み上がりとは思えない活躍を見せてくれました。これだけでも凄い話ですが、先日、記者会見をして、実はステージ3Bというかなり進行した状態であることを公表し、さらに周囲を驚かせています。
進行がんと早期がんは異なる病気
がんと診断され、早期に復帰を果たす方は少なくありませんが、その多くは早期に発見され、あまり進行していないがんです。しかし、原口選手の場合はかなり進行したがんであり、全く異なる病気といっても過言ではないのです。がんは進行して、周囲に浸潤したり、離れた部位に転移すると、全身に細胞の単位で散らばってしまいます。原発部位に留まっている早期のがんは、手術や放射線で取り去れば、完治を目指せますが、進行がんになると目に見えるがんを取り去っても、細胞の単位で残ったがんから、再発や転移のリスクが残ります。
抗がん剤の副作用は復帰する上では大きな障害
再発や転移に備えて、進行がんでは全身に散らばったがん細胞を排除するために、抗がん剤などによる全身治療が行われます。抗がん剤はがん細胞だけでなく正常細胞まで巻き添えにするので、つらい副作用が避けられません。3年前に胃がんと診断され、復帰を果たした広島東洋カープの赤松真人選手は、抗がん剤の影響でなかなか体調が戻らなかったとコメントしていましたが、トップクラスのアスリートにとって体にとってマイナスに作用する抗がん剤は、復帰に向けての大きな障害になるのです。進行がん、そして抗がん剤の副j作用……それらを克服した原口選手の努力がどれだけ大変だったかということです。