2019-08-15
なぜ、がん患者は怪しい治療に手を出すのか?
医薬品の承認を受けていない健康食品を、がん細胞が自滅すると宣伝して販売していた会社の代表が逮捕されました。
標準治療だけでは進行がんは征圧出来ない
先日、フコイダンを原料に使った健康食品を、医薬品として承認されていないにもかかわらず、がん細胞が自滅するなどと宣伝して販売していた会社の代表が逮捕されました。こうした残念な事件は時々目にしますが、そもそも患者がこうした代替医療に希望を求めるのは、保険診療で行われる標準治療だけでは、特に進行がんに対しては征圧することが難しいからです。標準治療の柱となる手術・放射線・抗がん剤では、全てのがん細胞を排除出来ない上、がん克服の鍵となる免疫を低下させるため、どうしても再発や転移のリスクが残ります。
まずは医師が標準治療の限界と向き合うべき
確かに保険診療は、誰もが平等に充実した治療が受けられる優れた制度です。しかし、保険適用になるためには長い時間と巨額の費用をかけて臨床試験を行い、エビデンスを集めなければならず、資金力のある製薬会社でなければ困難です。そして、現時点での標準治療は進行がんを征圧するには不十分だという現実があります。保険診療を行う医師は、まずはこの現実と向き合うべきではないでしょうか。自由診療でどんなに優れた治療があっても、保険診療の枠内では行うことも勧めることも出来ません。標準治療に限界があると悟った患者が、自力で情報を集めた結果、怪しい治療に行き着いてしまうのは、そうした背景に原因があることは否定出来ないでしょう。
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