犬の虫下しで全身転移のがんが消失
米国で小細胞肺がんが全身に転移した男性が、犬の虫下しを飲んで、がんが完全に消失したというニュースが話題になっています。
全身に転移したがんが、3か月後には完全に消失
2016年に小細胞肺がんが見つかり、2017年1月には首、胃、脾臓、骨などに転移し、手の施しようがない状態になった米国の男性は、医師からは余命3か月宣告されました。インターネットで何か出来ることはないか調べた結果、ある獣医と知り合い、犬の虫下しであるフェンベンダゾールについて教えてもらいました。ステージ4の脳腫瘍の患者がフェンベンダゾールを服用したところ、6週間後には腫瘍がなくなったというのです。早速、この男性もフェンベンダゾールを服用したところ、3か月後にはPETでがんが完全に消失していることが確認されました。
米国では抗がん剤として臨床試験が行われていた
がんに関しては怪しい民間療法や代替療法が横行しているのは事実です。犬の虫下しでがんが消失したというのも、一見そのような印象を受けます。しかし、調べてみるとビタミンとの併用でマウス実験を行ったところ、リンパ腫への効果が確認されるなど、幾つかの論文が発表されています。また、米国では組成の近い化合物で抗がん剤としても臨床試験も行われているようです。
既存薬をがん治療に転用し、時間と費用を抑える
かつて多くの薬害を引き起こしたサリドマイドは、後に多発性骨髄腫の治療う役に転用されました。また、風邪薬の抗炎症成分であるフルフェナム酸には、膀胱がんの転移を抑える効果が確認され、転用への研究が進んでいます。新薬の開発コストが急激に上がる中、時間と費用を圧縮する目的で、ドラッグ・リポジショニング(既存薬の転用)が盛んに取り組まれていますが、このケースもそのひとつといえるかもしれません。