2019-03-22
NK細胞は他人のがん細胞でも認識して攻撃する
がん免疫の主役であるNK細胞は、他人の体内であっても、がん細胞だけを攻撃してくれます。
T細胞のがん細胞への攻撃力を高めたCAR-T
がん患者のT細胞に対して遺伝子改変を行い、がん細胞に対する攻撃力を高めた上で培養し、再び点滴で戻すCAR-T療法が、間もなく保険適応になりそうです。T細胞は免疫細胞の一種で、数の上では圧倒的に多く、また培養も容易なのですが、がん細胞は滅多に攻撃しません。膨大な種類があり、それぞれが攻撃する対象が決まっているのです。
T細胞は他人の体内では拒絶反応が起きる
これに対してNK細胞は、活性が高ければ、どんながん細胞でも見逃さずに傷害します。これは他人の体内であっても同じように機能します。T細胞の場合、他人の体内では拒絶反応を起こすため、CAR-Tでは患者自身のT細胞を使う必要があります。従って、量産が難しく、米国では1回5000万円以上もの高額な費用の原因となっています。
健常な他人のNK細胞を使ったがん治療
がん患者のNK細胞を体外で質・量ともにアップさせる免疫細胞療法は、現在、第三種再生医療等として患者自身のNK細胞で行われています。とはいえ、がん患者は免疫が抑制されていたり、抗がん剤の影響などで免疫細胞の量も質も低下していたりします。他人の免疫細胞を使うと、第一種再生医療等に該当し、より高い規制が設けられますが、将来的には健常者の活性の高いNK細胞を使った免疫細胞療法も開発されるのではないでしょうか。
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