がんの治療薬としては承認されていない丸山ワクチンですが、実は同成分の医薬品があります。
あれこれ物議を醸した丸山ワクチンの不承認
昭和40年代、がんの特効薬かもしれないと話題になったのが丸山ワクチンです。いまだにがんの治療薬としての承認はされていませんが、熱心な支持者が多く、有償治験(患者が実費を負担する治験)という形式で現在までに約40万人の患者に使われており、中には末期がんが寛解するなど、著効のあった患者は少なくありません。丸山ワクチンががんの治療薬として承認されなかった背景として、様々な事情が噂されました。他の新薬に比べて安価なので、製薬会社からの反発があったとか、がんの専門とはいえない皮膚科で開発されたので、業界からの後押しがなかったとか、真偽のほどは定かではありませんが、いろいろと物議を醸したのは事実です。
丸山ワクチンと同成分、高濃度のアンサー20
ところで、この丸山ワクチンが国から承認されていることをご存知でしょうか。がんを放射線で治療した際、白血球の減少が起こることがあり、その治療薬として丸山ワクチンと同成分で濃度の高いアンサー20という製品が承認を受けています。これは制度の問題ですが、医薬品の保険適応は製品に対してではなく、病気や症状に対して別個に行われます。がんに伴う症状を改善する際には、保険診療の中で使えても、がんそのものの治療には使えないということです。欧米では普通に使われている分子標的薬が、国内ではがんの種類によっては未承認というドラッグラグの問題は周知されるようになりましたが、ここでも同様のことが起こっているのです。
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