砒素でがんを治す実験が行われ、動物実験での成果が発表されました。
腫瘍の近くで溶ける脂質のカプセルを使用
砒素といえば猛毒として知られています。この砒素を使って、がんを治療する実験が行われています。脂質から作られた小さなカプセルに、砒素(三酸化二砒素)を入れて投与したところ、脂質はがん細胞が腫瘍を作り、酸性度が高い環境では溶けてしまうため、砒素は腫瘍にピンポイントで送り届けられ、がん細胞を破壊します。科学雑誌『MedicalXpress』に掲載された米国の研究グループの論文ですが、動物実験では95%の割合で急性白血病が寛解したとか。
毒性の高さでは抗がん剤も同様
近年、がん治療においてはがん細胞に的確に薬を送り届けるDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)が、大きな研究テーマとなっています。効率よくがん細胞を退治し、正常細胞への影響を避けるためです。猛毒の砒素を使うのであれば、安全性の面でこのDDSを発展させることが必要かと思われますが、程度の差はあれど、抗がん剤(殺細胞剤)も猛毒といえます。当然、副作用を招くわけですが、効果が大きければ副作用もあることを忘れてはいけません。毒性があるから、副作用があるからと抗がん剤を完全に否定する方はいますが、薬は全てどのように使うか、使い方次第なのです。
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