前立腺がんは進行が遅い場合が少なくありません。早期のうちに手術をするという選択肢はありますが、デメリットを考慮した上で判断する必要があります。
前立腺がんにはラテントがんが多い
がんの多くは放置しておけば浸潤や転移をします。ところが、前立腺がんは悪性度が低い場合が多く、進行しているうちにほかの原因で寿命を迎えるラテントがんが少なくありません。早期の前立腺がんに対して放置しておいた患者と手術をした患者では、20年後の生存率に大差がなかったという報告さえあります。確かに既に進行している場合には、手術、放射線、抗がん剤、ホルモン剤などの治療が必要です。ところが、早期の場合は必ずしも治療を行う必要がないというケースがあるのです。
前立腺がんの手術には排尿障害などのリスクが
とはいえ、将来の不安を解消するために、積極的に治療をしたいという患者は少なくないと思います。誰でも体にがんがあるという状態は不安なものです。しかし、治療にはデメリットがあり、特に問題になるのは、手術によって神経や組織を傷つけることで、排尿や排便、勃起などの機能に障害が出ることです。近年、人間よりも精密かつ複雑な作業の出来る手術ロボットが開発され、それらのリスクは随分と軽減され、前立腺がんでは保険適応になっていますが、こうしたQOLの面は軽視出来ません。前立腺がんの治療は症状だけでなく生活全般、さらには患者自身の今後の将来を含めて考える必要があります。
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