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2017-09-26

上皮性卵巣がんの新たな標的となる遺伝子を発見

上皮性卵巣がんの治療の鍵となりそうな遺伝子が発見されました。そして、抗寄生虫薬「イベルメクチン」がこの遺伝子の働きを抑制し、抗腫瘍効果を発揮することも明らかになっています。

大村智博士が開発したイベルメクチンに抗腫瘍効果が
がんの新薬開発の主流は、がん細胞に特有の蛋白質(抗体)に対して働きかけ、増殖を食い止める抗体医薬品です。大阪大学などのグループは、卵巣がんの9割を占める上皮性卵巣がんについて、細胞の核内に蛋白質を運び込む遺伝子(KPNB1)の働きを抑制すると、アポトーシスを促して、抗腫瘍効果を発揮することを突き止めました。また、この遺伝子の抑制にはノーベル医学・生理学賞を受賞した大村智博士(北里大学特別栄誉教授)が発見した成分「アベルメクチン」から作った抗寄生虫薬「イベルメクチン」が有効であることも明らかにしました。

KPNB1の働きを抑制すると、顕著な抗腫瘍効果が確認出来た
マウスにヒトの上皮性卵巣がんの細胞を移植し、体内で出来たがん細胞に対して様々な遺伝子の働きを抑制するなどの実験を行った結果、抗腫瘍効果が顕著であったのが、KPNB1の働きを抑制した時でした。また、上皮性卵巣がんで治療後の経過がよくない患者の多くは、この遺伝子が多く発現しており、治療のための大きな標的となる根拠になっています。

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