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2017-07-18

がん抗原に依存する以上、期待のCART-Tとて万能ではない

CART-Tが米国FDAに承認される見込みです。次世代のがん治療薬として最も注目を集めていますが、その実力はいかほどのものでしょうか。

T細胞の遺伝子を改変し、がん細胞を認識しやすくする
大手製薬会社のノバルティスが開発している新たながんの治療薬「CTL-019」が、米国FDA(日本の厚生労働省に相当する機関)の審査を通過し、数か月後には正式に承認されそうです。CTL-019は次世代のがん治療薬として一番注目を集めているといっても過言ではないCART-T(キメラ抗原受容体T細胞)のひとつです。がん細胞を攻撃する免疫細胞のひとつであるT細胞に、遺伝子の改変を行い、がん細胞をを認識しやすくするというものです。

がん細胞だけに特有の抗原はない
T細胞はがんを攻撃する免疫細胞のうち、数の上では圧倒的な多数を占めます。問題は樹状細胞などから攻撃対象としてがん細胞特有の物質を抗原として提示されば、攻撃を行わず、また自分のタイプに合わないがん細胞は、目の前にあっても攻撃しないことです。CART-Tは、そのようなT細胞に対してがん細胞を認識するセンサーを追加するわけです。しかし、がん細胞は患者自身の体で生み出されており、ある意味、異物ではありません。がん細胞にだけ特有の抗原がない以上、どれだけセンサーを追加しても、万能ながん治療薬にはならないわけです。

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