がんは遺伝子の病気であり、遺伝子にアプローチする治療がどんどん開発されています。徳島大学のグループは日本人に最も多いエストロゲン依存性乳がんを遺伝子という側面から治療する新薬を開発しました。
がん抑制遺伝子の機能を回復させる
乳がんには幾つかのタイプがありますが、日本人に一番多いのは女性ホルモンのエストロゲンが引き金となって増えるエストロゲン依存性乳がんです。このタイプの乳がんに対して新たな新薬が開発されました。乳がんに特異的に発現する蛋白質「BIG3」は、エストロゲンの分泌を抑制して、がん化を抑制する遺伝子「PHB2」の働きを阻害しています。今回、開発された新薬「ERAP」は、PHB2に本来の機能を回復させ、がん細胞の増殖を食い止めます。マウス実験ではホルモン剤との併用でがん細胞を死滅させることに成功しました。開発したのは徳島大学のグループで、3年後の実用化を目指しています。
ホルモン剤には副作用や薬剤耐性の問題がある
エストロゲン依存性乳がんでは手術が可能な場合は、まず手術が選択肢となりますが、再発や転移を防ぐために、ホルモン剤が使われることが一般的です。しかし、投与が長期になり、副作用や薬剤耐性といった問題もあります。遺伝子という観点から開発されたこの新薬「EPAP」には、大きな期待が寄せられています。
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