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2017-06-19

高齢者の進行がんは切らないという選択も

 

抗がん剤や手術など標準治療はがんを叩くという意味では、最も効果的です。しかし、強力だからこそその後の生活を考えて、やるべきかどうかを様々な観点から判断する必要があります。

高齢者には抗がん剤の延命効果はなかった
先日、高齢の進行がん患者への抗がん剤治療は延命効果がないという調査結果が、国立がん研究センターから発表されました。抗がん剤はがんを叩くといういう意味では最も強力です。しかし、副作用もそれだけ深刻です。体力がなければ強い治療には耐えられず、がん細胞を減らしても、それ以上に治療によってダメージを受けることがあるのです。がん治療はがん細胞を消し去ることではなく、可能な限り健康を回復することです。高齢者といっても体力や気力には個人差があります。がんの部位やステージ、治療の経緯だけではなく総合的な見地から判断する必要があります

手術後の介護なども検討しておく必要がある
手術においても同じことがいえます。手術は何よりも体に負担がかかります。極端にいえば、がんが体にあっても、さらに大きくなったり、生命の維持や健康に支障が出たりしなければよいわけです。また、手術する部位や程度においてはその後の機能に支障が出る場合もあります。患者自身のQOLに加えて介護をどうするのか家族や住まいの面からの検討も不可欠です。昨今、標準治療の副作用や負担といったマイナスの面だけを誇張して、がんは切るなとか、放置せよとかいう無責任な報道をするメディアがあります。治療は患者にプラスになるのであればやったほうがいいのです。ただ、標準治療はがんを叩く力が強いだけに、特に高齢者の場合は様々な観点から考える必要があるということです。

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