財務大臣などを務めた与謝野馨さんが亡くなりました。議員を勤めた36年間のうち、4つのがんとの闘いは30年にも及びます。
血液、直腸、前立腺、下咽頭と4つのがんになる
5月24日、財務大臣などの主要閣僚を歴任した元衆議院議員の与謝野馨氏が亡くなりました。その来歴はがんとの闘いの連続でもありました。まず1977年、39歳の時に濾胞性リンパ腫という血液のがんであることがわかり、余命2年を宣告されます。初当選から僅か10か月後のことでした。10年後には腸間膜に転移し、抗がん剤や放射線で克服しましたが、2000年には直腸、2001年には前立腺にがんが発見されます。直腸がんは手術で切除しましたが、前立腺がんは長年の放射線治療の影響で手術が困難になっており、ホルモンと放射線で寛解に至っています。しかし、2006年には下咽頭がんが見つかり、余命2年半との診断。それでも手術を経て仕事に復帰しました。
仕事への思いと冷静な思考でがんに負けなかった
与謝野氏は、議員であった36年間のうち、4つもがんを患い、闘病生活は30年に及びます。余命宣告も2度。そんな中で議員を続け、主要閣僚まで務めてきたことは驚くべきことでしょう。その原動力は何よりも仕事への思いでしょう。仕事柄、大病だと知られることは不利になると、名前を伏せて、健康保険を使わずに、全て自己負担で治療を受けていたそうです。また、下咽頭がんの手術の際、転移や再発を防ぐために、本来は切除すべき声帯を残したのは、声を出して話せなければ政治家ではないという思いがあったからだとか。仕事を続けていたからこそ、4つものがんに負けなかったといっても過言ではありません。もうひとつはやるべき治療を速やかにやったことでしょう。与謝野氏といえば屈指の政策通といわれたインテリ派ですが、がんという病気、自らの状態をしっかりと把握し、効果的な治療を行えたのは、その冷静な思考ゆえかもしれません。