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2017-02-24

悪性リンパ腫に対して一度だけ使える切り札

松方弘樹さんの命を奪った悪性リンパ腫。免疫細胞であるリンパ球ががん化する血液のがんですが、これに対して有効な「ジョーカー」と呼ばれる治療があります。そう呼ばれる理由は有効な治療でありながら、一度しか使うことが出来ないからです。


がん化したB細胞をβ線を出す薬で破壊
血液のがんといわれる悪性リンパ腫。最近では俳優・松方弘樹さんがこの病気で亡くなっています。この悪性リンパ腫に対して「ジョーカー」と呼ばれる治療法があります。リンパ球にはいろいろな種類がありますが、その中でがん化したB細胞の表面にはCD20という抗原が存在します。これを標的に作用するリツキシマブという薬に、β線を放つ薬剤・ゼヴァリンを結合させて投与することで、がん化したB細胞を破壊するという仕組みです。悪性リンパ腫の9割を占める非ホジキンリンパ腫、その中でも比較的ゆっくりと進行する濾胞性リンパ腫が対象となります。

再度、行うと、重篤なアレルギーを起こす恐れが
治療は点滴を午前と午後に1回ずつ。それぞれリツキシマブとゼヴァリンを投与します。放射線を出す物質を体に入れるといっても微量なので、その意味での副作用は心配ありません。従来の抗がん剤に比べて、副作用は軽微といえます。奏効例が多い治療ですが、問題は「ジョーカー」といわれるように、一度しか使えない切り札的な治療であること。一度治療を行うと、体内に抗体が作られ、再度行うと重篤なアレルギー反応が起こる可能性があるのです。そのため、最適なタイミングを見計らって実施する必要があるのです。

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