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2020-05-07

がん治療を受けると、感染症のリスクは増えるのか?

新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった岡江久美子さんは、昨年暮れに乳がんの手術を受け、今年に入って、放射線による治療を受けていました。

がん患者は免疫が低下している
女優の岡江久美子さんが新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなりました。岡江さんは昨年末に早期の乳がんで手術を行い、その後、再発予防のために放射線の照射を受けています。がん治療の影響で免疫が低下した結果、感染症を起こしたのではないかと、同じがん患者の方は不安になっているのではないでしょうか。そもそもがんになる時点で健常者よりも免疫は低下しています。私たちの体内では毎日何千個ものがん細胞が出来ていますが、免疫が十分に機能していれば、迅速に排除され、がんという病気の芽を摘んでいます。しかし、免疫が低下すると、がん細胞が生き延びて増殖し、やがては大きながんになります。そして、がん細胞は生き延びるために、様々な手段で免疫を抑制し、がん細胞が増えれば増えるだけ、その抑制は強くなるのです。

とにかく感染症には気をつける
また、早期の乳がんの手術後には取り残したがん細胞を叩くために、軽く放射線を当てて、再発リスクに備えることがあります。 日本放射線腫瘍学会は、免疫を低下させるようなリスクはないという声明を出していますが、軽いとはいえ放射線を照射すると、骨髄抑制が起こり、免疫細胞の数が減ってしまうことは否定出来ません。どれくらい放射線を照射した影響があって、どれくらい免疫が低下したのか、またそれが感染の引き金になったのか、はっきりと因果関係を証明することは不可能です。しかし、がん患者の生還を左右するのは免疫であり、治療自体が免疫を低下させることは事実です。また、がん患者の多くが、免疫が低下した結果、感染症になって亡くなることを考えれば、必要な治療を受けるのは当然にしても、感染症対策に細心の注意を払うことが求められるということでしょう。

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