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2017-01-13

副作用のない抗がん剤が存在した(後編)

副作用のない抗がん剤。昨年のノーベル化学賞の候補にも挙げられた前田浩熊本大学名誉教授の開発したP-THPは、そんな夢のような話を実現しています。後編はその具体的なメリットなどを開設します。

副作用のない抗がん剤が存在した(前編)

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P-THPはホルモン依存性のがんによく効く
腫瘍の血管からは漏れて、正常な血管からは漏れず、患部にのみ届けられ、さらにはがん細胞が効率よく取り込むP-THPの仕組みから考えると、様々ながんに使えそうなものですが、前立腺がんや乳がん、卵巣がんのようなホルモンに依存するがんにはよく効く反面、胃がんや肺がんなどではまだ効果がはっきりしていません。とはいえ、腫瘍が縮小したり腫瘍マーカーの数値が改善したりといった効果が見られない患者においても、副作用は軽微であったりほぼなかったりという結果が出ています。

抗がん剤の副作用がなければ治療の選択肢が広がる
副作用がないということは通常に近い生活が送れるということです。食欲が落ちないので、体力を維持出来ます。仕事と治療の両立もしやすいでしょう。治療を組み立てる上でも、選択肢が増えることになります。例えば体への負担を考えて、ある程度の間隔が必要な抗がん剤と放射線の併用もやりやすくなります。通常は数か月は経たないと出来ないのですが、進行の早いがんであれば、その間に悪化してしまう可能性があります。

P-THPがなかなか実用化されない背景
いいこと尽くめのように聞こえるP-THPですが、承認、そして保険適用されるのは、まだまだ先のことといわざるをえません。ベースとなっているピラルビシンは既に特許が切れており、高い薬価をつけることが出来ないので、製薬会社に利益をもたらさないのです。現在、がんの新薬開発はがん細胞特有の物質を特定し、それに働きかけるというのが主流です。治験には莫大な費用がかかるので、流行から外れていると、なかなか研究費が集まらないという背景もあるでしょう。必要としている方は多いはずですから、早期の実用化を待ちたいところです。

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