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2016-12-26

動脈を塞いで、がんを兵糧攻めにする手術

切るだけではなく様々なやり方が開発されているがんの手術。今回紹介するのは、肝細胞癌などに有効とされる動脈を塞いでがんを兵糧攻めにする手術です。

blood arteries and veins

患者の体により負担のかからない手術を
がんの手術の基本はメスや内視鏡で腫瘍を切除することですが、最近では切除以外にも様々な方法があります。肝がんの場合、腫瘍をマイクロ波やラジオ波で焼いたり、アルコールや酢酸などで固めたりする手術があります。また、腎がんなどでは腫瘍に液体窒素を注入して凍結させるという手術もあります。いずれも通常の手術よりは患者の体に負担を与えないことが狙いです。今回、紹介する動脈塞栓術もそのひとつといえます。 

腫瘍に酸素と栄養を運ぶ動脈を塞ぐ
動脈塞栓術とはわかりやすくいうと、腫瘍に栄養を運んでいる血管を塞ぐことで、栄養を運べなくして兵糧攻めにする治療です。まず足の付け根から患部のすぐ近くまで動脈にカテーテルを通します。そこから抗がん剤を投与した後、手術で止血のために使用する物質を注入して塞いでしまいます。血流が止められることで、栄養や酸素が供給されなくなり、やがて腫瘍のがん細胞は死滅していきます。動脈塞栓術は肝細胞がんなどで行われます。肝細胞がんは、肝臓の動脈が栄養や酸素の主要な経路ですが、肝臓の正常細胞は門脈経由で受け取っています。従って、動脈を塞いでも、がん細胞だけが死んでしまうのです。


腫瘍に栄養を運ぶ動脈の特定は難しい
通常の手術などが出来ない肝細胞がんなどに有効な動脈塞栓術ですが、普及していくまでにはまだ改善の余地が多いといえます。まず腫瘍に栄養や酸素を運ぶ動脈を特定し、カテーテルを正確に操作する技術の難しさがあります。また、画像診断の機材は高価で大規模になるため、導入出来る施設は限られます。また、正常細胞を傷つけず、がん細胞だけ兵糧攻めにするためには、カテーテルや動脈を塞ぐ物質をさらに改良することが求められます
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