木山裕策さんが会社員を続けながら、歌手デビューを果たし、『home』をヒットさせたきっかけは、三十代という若さで患った甲状腺がんでした。
歌手デビューのきっかけは甲状腺がん
歌手・木山裕策さんといえば会社員を続けながら、オーディション番組にチャレンジして、念願のデビューを果たしていたことで知られています。デビュー曲『home』はヒットし、その年の『NHK紅白歌合戦』にも出場しました。何年かは会社員と並行して歌手を続けていた木山さん、現在では会社を辞めて、4人の息子のいる6人家族の主夫だそうですが、デビューのきっかけとなったのは、三十代で患った甲状腺がんでした。
手術が成功したら、もう一度夢に挑戦してみよう
学生時代から歌手を夢見ていた木山さんは、一度は挫折し会社勤めをしていました。優良企業に勤務し、家族にも恵まれましたが、2004年、左側の甲状腺にがんが見つかり、手術を受けています。がんは生死に関わる大病ですが、もうひとつの問題は喉の近くの手術であり、声帯を動かす神経を傷つけてしまう可能性があったことです。そこで木山さんが思ったのは、手術が無事に終わり、以前通りに声が出るようになったら、もう一度夢に挑戦してみようということでした。結果的に手術は成功し、以前のように歌えるようになった木山さんは、息子たちに歌を聞かせたい、CDデビューという形に残したいという思いで、オーディション番組に臨んだのです。
治すために治すのではなく、生きるために治す
がんという生死を左右する大病は、それを治すことで、頭が一杯になってしまいがちです。とはいえ、治すために治すのではなく、生きていくために治すわけです。治ったら誰のために、何をやるために生きるのか、明確な目標を描いて治療に臨んだほうが、精神的な支えになるでしょうし、治療の成果も上がるのではないでしょうか。木山さんにとって治すことの意味は家族、まさに「home」であり歌手になるという夢だったのでしょう。