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2016-11-03

乳がんの化学療法には4つのタイプがある

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このところ、著名人の乳がんがよく話題になります。乳がんには4つのタイプがあり、それによって化学療法が異なってくることをご存知でしょうか。

乳がんの手術前に化学療法を行うメリット
乳がんの治療では三大療法(手術・放射線・抗がん剤)のほか、化学療法として抗がん剤に加えてホルモン剤や分子標的薬が用いられます。通常はまず手術で腫瘍を取り、取り切れなかったがん細胞を死滅させるために、放射線を当てます。ここまでが局所療法であり、再発や転移を防ぐために、全身療法として化学療法を行います。がんが進行し、浸潤や転移がある場合には、最初に化学療法を行うこともあります。腫瘍が小さくなれば、手術が可能になることがあるからです。また、手術の前に腫瘍を小さくすることで、体への負担を少なくし、乳房を温存しやすくするという目的で、最初に化学療法を行うケースも増えています。

乳がんには4つのタイプがある
化学療法で抗がん剤、ホルモン剤、分子標的薬をどう組み合わせるかは、乳がんがどのようなタイプかで違ってきます。女性ホルモンであるエストロゲンの刺激で進行する乳がんの場合は、ホルモン剤が有効です。乳がんの約7割はこのタイプになります。がん細胞の増殖に関与しているHER2という蛋白質を発現している場合には、分子標的薬(ハーセプチン)を使うことが出来ます。それぞれの陽性・陰性で合計4つのタイプがあるわけです。いずれも陽性で、ホルモン剤も分子標的薬も使える患者もいます。残念ながらいずれも陰性の乳がんを「トリプルネガティブ型」といい、標準治療では化学療法として抗がん剤を使うしかありません。ホルモン剤や分子標的薬を使う場合にも、抗がん剤は併用されます。

抗がん剤と分子標的薬を併用するのはおかしい
分子標的薬はがん細胞特有の物質を目印に攻撃し、分裂や増殖に歯止めをかけます。正常細胞まで巻き添えにしないため、抗がん剤のような重い副作用のリスクがありません。抗がん剤の影響を受けやすい免疫細胞を温存して、免疫の力でがんを治そうという薬です。しかしながら、標準治療においては分子標的薬と抗がん剤が併用されることが多いようです。免疫細胞に頑張ってもらわなければならないのに、免疫細胞の勢いをそぐようなことをしているのが現状なのです。

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