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2016-10-11

大腸がん

大腸がんの傾向
大腸がんは近年、罹患者数、死亡者数ともに増加しています。2015年の罹患者数は年間およそ13万6000人。1990年の大腸がん罹患者数が約6万人なので、25年で2倍以上に増えており、2020年には男女ともにがんの中で罹患数1位になると予想されています。比較的、生存率が高いがんといえますが、それでも罹患者数の増加に伴って死亡者数も増加しています。2015年の大腸がん死亡者数は約5万1000人で、がんの部位別死亡者数において男性では肺がん、胃がんに次ぐ3位、女性では1位となっています。罹患者数は男女とも50歳代から増加し始めます。

※参考 公益財団法人がん研究振興財団「がんの統計 ’15」

adobestock_100774663s大腸がんの種類
大腸は結腸と直腸に大別されます。結腸は盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸からなり、さらに直腸、肛門管へと続きます。大腸がんとは「結腸がん」と「直腸がん」の総称です。大腸がんのうち、直腸とS状結腸に出来るがんが約70%を占めており、肛門に近い部分にがんが出来やすい傾向があります。直腸とS状結腸に便が長時間留まることで、粘膜が刺激を受け、がん化に繋がっていると考えられています。がんの出来る部位によっては排便など術後の生活にも影響を及ぼします。

大腸がんの原因
大腸がんが近年増加している原因として、主に食生活の欧米化と生活環境の悪化、高齢化が指摘されています。食生活の変化では近年、高脂肪、高カロリー、低繊維の欧米型の食事が顕著になっています。その結果、便が大腸に長時間滞留し、便に含まれる発がん物質が、粘膜に接している時間も長くなり、がんが発生しやすくなります。生活環境では運動不足や過剰なストレス、喫煙、多量の飲酒などが大腸がんを招く要素と考えられます。さらに、大腸がんの発症ピークは60〜70歳と推定されています。排泄にまつわる筋肉の衰えや内臓機能の低下などから便に含まれる発がん性物質を排出しきれないことが考えられます。その他、遺伝的要因によって大腸がんを発症する場合もあります。

大腸がんのステージ分類
大腸がんのステージは他の多くのがんと同じように、T因子、N因子、M因子を基準として次のように分類されます。

ステージ

  M0 M1
N0 N1 N2/N3 Any N
Tis 0期
T1a・T1b Ⅰ期 ⅢA期 ⅢB期 Ⅳ期
T2
T3 Ⅱ期
T4a
T4b

 

T因子(原発腫瘍)
Tis がんが粘膜内に留まり、粘膜下層に及んでいない
T1a がんが粘膜下層までに留まり、浸潤距離が1000μm未満である
T1b がんが粘膜下層までに留まり、浸潤距離が1000μm以上であるが、固有筋層に及んでいない
T2 がんが固有筋層まで浸潤し、これを越えない
T3 がんが固有筋層を越えて浸潤している
T4a がんが漿膜表⾯に露出している
T4b がんが直接他臓器に浸潤している

N因子(所属リンパ節)
N0 リンパ節転移を認めない
N1 腸管傍リンパ節と中間リンパ節の転移総数が3個以下
N2 腸管傍リンパ節と中間リンパ節の転移総数が4個以上
N3 主リンパ節に転移を認める。下部直腸癌では側方リンパ節に転移を認める

M因子(遠隔転移)
M0 遠隔転移を認めない
M1 遠隔転移を認める

※資料 大腸癌取扱い規約(第8版)

 

大腸がんの生存率
大腸がんは他のがんと比べて5年生存率が高く、早期の段階で発見出来れば、完治の可能性が高いことがわかります。ステージが同じでも、患者ごとに病態や経過が大きく異なりますから、あくまでもひとつの参考と考えてください。大腸がんは初期に自覚症状が出ないことが多いので、定期的に検診を受けることが大切です。

大腸がんの5年生存率

I期 99.00%
II期 90.80%
III期 81.60%
IV期 18.10%

※全がん協部位別臨床病期別5年相対生存率(2004-2007年診断症例)より

大腸がんの治療
大腸がんの標準治療の柱は内視鏡、手術、放射線、化学療法になります。深達度や転移の有無などを総合的に判断して、治療法を選択します。

内視鏡
内視鏡治療とはお腹を切らず、肛門から内視鏡を挿入して治療する方法です。開腹せずに治療出来るので、体への負担が非常に軽い治療法といえます。適応基準は、がんが粘膜に留まって、リンパ節への転移がない場合です。切除の方法には内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)があり、病変の大きさやがんの深さなどによって切除法が決定されます。内視鏡治療で大腸がんが確実に切除されたかどうかは、病理検査・病理診断で確認します。

手術
内視鏡での切除が難しい場合は、手術による切除が基本となります。手術は「腹腔鏡手術」と「開腹手術」とに大きく分けられます。腹腔鏡手術は開腹するのではなく、お腹に何箇所か開けた穴から、腹腔内で操作を行い、病巣を切除します。早期の結腸がんで内視鏡治療が難しい場合が適応基準です。がんが粘膜を越えて広がっている場合は、開腹手術が必要です。結腸がんと直腸がんでは切除術の方法は異なりますが、いずれにしてもがんの根治と機能の温存を目指す治療法が主流になっています。

放射線
直腸がんの場合、放射線療法でがんを縮小させてから手術を行うことがあります。また、骨盤内からの再発を抑制する目的や、切除出来ない骨盤内のがんによる痛みの症状緩和を目的として行われることもあります。

化学療法
大腸がんの化学療法は抗がん剤を注射する方法や内服する方法があります。手術後の再発を予防することを目的とした「術後補助化学療法」と、手術では切除しきれなかった進行・再発がんに対する「全身化学療法」が中心になります。従来の抗がん剤は正常な細胞まで攻撃しますが、がん細胞特有の分子を標的にして狙い撃ちするという「分子標的薬」が登場し、今後はこの分子標的薬を組み合わせた療法が中心になると見られています。

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