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2016-08-25

5年生存率と10年生存率

number ten on running track
10年生存率が発表されました。5年生存率と同様、進行がん患者にとって指標となる数字ですが、ここから何を読み取ればよいのでしょうか。

生存率は完治した割合ではない
現状の標準治療では完治という考え方がなく、5年再発や転移がなければ、寛解とみなしています。そのため、よく使われるのが「5年生存率」という数字です。これはがん治療を始めてから、5年後に生きていた方の割合であり、寛解して元気になっている方だけではなく、まだ治療を続けている方や再発した方を含むので、注意が必要です。

AdobeStock_67641684sがんによっては5年再発なしで寛解の裏付けに
今年の1月には「10年生存率」も国立がん研究センターから発表されました。日本人に多い胃がんや大腸がんにおいては5年と10年では生存率がほぼ横ばいで、5年再発がなければ寛解と見なす裏付けとなっています。しかし、肝がんや乳がんでは10年後に数字が悪化しており、治療が長期戦になっています。肝がんでは原因となる肝炎ウイルスを完全に除去出来ず、発症へのプロセスを繰り返してしまうことが考えられます。多くの病気と同様、がんもまた何らかの原因があり、そこに根本的な対策を講じなければ、一旦はよくなっても、また再発してしまう可能性が大きいということです。

生存率はステージが浅いほど高い
5年にしても10年にしても生存率はステージが浅いほど高く、がんがいかに早期発見・早期治療を求められる病気かを物語っています。自分の余命はどれくらいかと思って参考にすると、ステージが進んだ患者にとっては、決して希望的な数字とはいえません。5人に2人は生き残れるといわれたら、多くの方は2人に入ることを期待しながらも、半分以上は亡くなるのかと思いがちです。がんという大病はそれだけ人を弱気にしてしまいます。

5年も10年も生存率は標準治療の結果
ただ、大きな前提があることを覚えておいてください。5年生存率も10年生存率も標準治療の結果に過ぎないということです。標準治療はがんを直接攻撃する治療としては一番有効であることは確かですが、それだけでは進行がんの治療としては限界があることがはっきりしているのです。早い段階から完治を想定した治療を行えばどうなるのか。その生存率は大幅に異なってくるはずです。

AdobeStock_96238068s標準治療は一番強力な道具だが
数字は客観的であるから残酷です。ただ、数字を受け止める側が、必要以上に感情的になってはいけません。そして、何よりも数字を弾き出したその前提を理解する必要があります。標準治療は最も実績があり、誰もが平等に受けられ、がんに対する攻撃手段としては一番の治療法ですが、、完治を目指していないということを知らない方はまだまだ多く、その中だけで完治を望んでも、机の上でころころと転がる卵を立てようとする行為に似ています。

標準治療を補完する選択肢を
がん治療は標準治療だけではありません。底の部分がぐしゃりと割れるのを覚悟して、手にした卵を机に押し付けてみてください。そのコロンブスのような決断は選択肢を何倍にも増やしてくれるはずです。一番強い道具である標準治療、完治のためにそれを補完してくれる先端医療や代替医療、全てを総動員しなければならないのが、がんとの闘いです。

 

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