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2016-07-01

2.「5年生存率」は何を意味するか?

5年生存率とは、治療から5年経過して生きている患者さんの割合です。但し、再発して治療中の方も生存に数えるので、治る確率を意味するわけではありません。

がんは、治癒の定義がない
がんという病気には治癒の定義がありません。体内のがん細胞や小さな腫瘍は見えないからです。治療がうまくいっても、体内にがん細胞が残っている可能性があれば、一概に治ったとはいいきれません。そこで「寛解」という言葉を使うことがあります。

5年再発しなければ寛解
1cm未満の小さな腫瘍は検査の画像に反映されません。画像上、見えなくなったからといって、がんがなくなったとは断言出来ないのです。また、腫瘍マーカーが正常な値になったとしても、がん細胞が体内から一掃されたのか、なりを潜めているだけなのかわかりません。そのため、治療が順調でも、ある程度は経過観察を続けることになります。そして、5年間再発しなかったら治った(寛解)とみなすことになっています。

5年生存率は治る確率ではない
そのような理由からがんの治療効果や将来の見込みを語る際には、5年という期間が目安にされます。「5年生存率」もそうした目安のひとつで、同じがんで同じステージの患者さんのうち、治療から5年を経過して生きている方の割合はどのぐらいかを示しています。即ち単純に治る確率を意味しているわけではありません。一般に使われている「5年相対生存率」は、がん以外の原因で亡くなった方を除き、治療から5年経過して生きている方の割合を示します。再発しないで元気に生きている方もいれば、再発して治療を受けている方もいるということです。

進行するほど、生存率は低下
5年生存率の数字はがんの種類やステージによって千差万別です。いえるのは概ね早期がんほど5年生存率が高く、進行したがんほど5年生存率が低くなるということです。がんが発生した部位の粘膜内に止まり、まだ転移していない限局性のがんなら、5年生存率は高く、部位によっては9割以上の生存が期待出来る場合もあります。例えば、限局性の前立腺がんの5年生存率は100%です。一方、がんが進行するほど、5年生存率は下がり、遠隔転移した進行がんの生存率はよくて20~30%、部位によっては5%程度のこともあります。

「5年生存率」はあくまでも参考に
5年生存率は過去の様々な患者さんのデータなので、個々に自分の生きられる確率として受け止めるべき数字ではありません。あくまでも治療方針を考える上での参考にするのが賢明といえます。

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