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2016-08-22

内視鏡手術は危険という報道の罪悪

Instrument for endoscopy in the doctor's hands
がん患者でも行われることが多い内視鏡手術で事故が起こると、メディアは大きく取り上げます。最新の技術とはいえ自分が受けるのは不安になるという方は多いのではないでしょうか。

患者に応じて手術の是非を考えるべき
ここのところ、週刊誌等ではがんで手術することへのネガティブな報道が目立ちます。標準治療の柱である手術・放射線・抗がん剤の三大療法のひとつとして、当たり前のように手術するのが、果たして患者にとってベストかどうかについては、がんサイダー.infoでも問題提起はしています。三大療法では進行がんを完全に制圧するには限界があり、お決まりの標準治療ではなく患者ひとりひとりに応じた治療設計が必要になってくるからです。手術で完全に取れるのは、目で確認出来る範囲に過ぎず、浸潤や転移、部位によっては取り切れないこともしばしばあります。手術による炎症はがん細胞の分裂や増殖を促します。体力を大幅に失うことにもなります。そして、それまであった臓器などをがなくなるわけですから、生活面での様々なデメリットも考えなければなりません。どのような手術が妥当か、手術すべきかそうでないか、いろいろな観点で考えてみる必要があるのです。

journaux内視鏡手術の危険を煽る報道
別の観点からの手術への批判の一例として内視鏡による手術が危険だという報道があります。内視鏡を使うメリットとは何かといえば、手術の範囲が小さくて済むことです。傷が小さければ、体への負担が少なく、がんであればがん細胞が暴れ出す原因となる炎症が少なくて済みます。回復は早くなりますから、治療の期間を出来て、時間やお金を節約出来ます。出来るのであればやらない選択肢はないでしょう。ところが、内視鏡手術で事故が起こると、メディアは大きく取り上げるので、ご覧になった方は多いでしょう。最新の技術ではあるが危険だとか、医師が自己満足でやっているとか、患者にしてみれば内視鏡での手術が怖くなってしまうような論調です。

どんな手術でも医師が未熟なら危険
問題はどんなに優れた技術であっても、まだまだ属人的な部分が大きく、手術を行う医師の技術に左右される部分があるということです。未熟な医師がやるのはどんな手術でも危険なのです。大腸内視鏡手術の第一人者といわれるNTT東日本関東病院消化器内科内視鏡部部長は、現場での執刀の傍ら、後進の指導にも精力的に取り組んでいます。医師が技術を磨くことの重要性を理解しているからこそ、より多くの患者を救うためにそうしているのだとか。

優れた技術を使いこなせる医師を見つける
がんとの闘いは人生の総力戦です。問題はメディアによって「内視鏡は危険」と刷り込まれることで、強力な武器となるはずの選択肢が、患者の頭から除外されてしまうことでしょう。昨今のそのような報道は実に不本意なことだと思います。よりよい治療で完治を目指すためには、内視鏡による手術は強い味方となります。そして、もうひとつ忘れてはなたらないのは、それを適切に使いこなせる医師というもうひとつの味方を見つけることなのです。

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