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2016-08-19

がんサバイバーが金メダルの快挙

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スポーツの第一線で活躍するがんサバイバーは少なくありません。開催中のリオ五輪では昨年左肺を摘出したセーリングのサンティアゴ・ランへ選手が、金メダルに輝きました。
 

昨年、肺がんで左肺を摘出
日本選手の活躍が続くリオ五輪ですが、ひとりのスキッパーが大きな感動と勇気を与えてくれました。今回からセーリングの種目となった混合ナクラ17級でアルゼンチン代表のサンティアゴ・ランヘ選手が金メダルに輝きました。実はランヘ選手は昨年、肺がんで左肺を摘出したがんサバイバー。手術後のわずかな期間で世界の頂点に立つという快挙を成し遂げたのです。

患部が左肺なのが幸いした可能性
ランへ選手の症状は詳しくは明らかにされていません。早期発見が幸いしたとのことですが、通常は呼吸機能を保つために温存したい肺を全摘出したということは、ある程度の浸潤や転移は進んでいたと思われます。幸いであったのは早期発見出来たことに加えて、患部が左肺であったことでしょう。実は私たちの肺は左右の大きさが均等ではなく、心臓が左側にある関係で、肺全体のうち、左肺が約44%、右肺が56%を占めます、従って、左肺を失うほうが、右肺を失うよりも、呼吸の機能は温存されるのです。

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肺がんは手術の前後の運動が大切
肺がんで肺を摘出した患者は、肺の一部をなくす上、左右のバランスも違ってきますから、以前のように呼吸が出来るまでには時間がかかります。その際に鍵となってくるのが、呼吸のための筋力です。肺を手術するとわかったら、症状に影響しない範囲で体を鍛え、また術後も運動をすることによって、呼吸に必要な筋力をつけていく必要があります。その意味では一流のアスリートであるランヘ選手は、十分な筋力があったでしょうし、術後6日目にはエアロバイクで運動し、ひと月後には海に出たそうです。早期発見、左肺が患部という幸運、驚異的な回復力、そしてがんになっても挫けなかった闘争心がもたらした金メダルといえるでしょう。

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