薬剤耐性とは、細菌や、ウイルス、がん細胞などが特定の薬の作用に抵抗力を獲得し、薬が効かなくなったり、効き目が弱まったりする現象をいいます。院内感染などの原因として問題になる薬剤耐性菌は、本来なら有効だった抗生物質などに耐性を持つようになった細菌です。がん治療で問題となる薬剤耐性は、化学療法に使っている薬が、急に効かなくなることです。がん治療薬(殺細胞剤や分子標的薬など)はがん細胞を減らして、腫瘍を縮小させたり、がん細胞の増殖にブレーキをかけて、成長を止めたりします。ところが、同じ薬を使い続けていると、いつか薬剤耐性が出現します。通常、他の薬に切り替えて、治療を続けますが、一度薬剤耐性が出来たがんは、次の薬にもすぐに耐性を獲得する傾向があります。がん細胞が薬剤耐性を持つメカニズムとしては、薬を排出するポンプを獲得する、細胞自体が構造を変える、抗がん剤の届かない腫瘍組織を作る……と考えられています。
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