2024-07-05
分子標的薬の効果をDNAのメチル化で判別
薬価が高く、副作用のリスクもある分子標的薬においては、事前に効果を判別することが重要です。
エピゲノムによる判別ははじめて
東北大学と理研ジェネシスは、大腸がんにおいてDNAのメチル化の状態から分子標的薬の効果を事前に判別出来るツールを開発し、製造販売承認を取得しました。分子標的薬は、がん細胞の異常な増殖に関係している蛋白質を目印に作用し、その働きを阻害します。がん細胞の性質がわかれば、分子標的薬の効果は予測出来るため、無駄な投与による費用や副作用のリスクを解消することになります。切除不能大腸がんの中で原発部位が左側(左半結腸・直腸の場合、分子標的薬「抗EGFR抗体薬」が効き易く、原発部位が右側(右半結腸)の場合、効きにくいことがわかっていました。この差異について遺伝子レベルで研究したところ、がん細胞のDNAのメチル化の割合が低いと、抗EGFR抗体薬の効果が高く、割合が高いと、効果が低いことがわかりました。分子標的薬をどのように使うかは、従来、遺伝子やゲノム検査に基づいていましたが、DNAの化学的修飾など遺伝子配列の変化を伴わずに機能を変化させるエピゲノムについては行われていませんでした。
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