2024-04-09
米国でTILが悪性黒色腫に対して承認
免疫細胞療法が公的に承認されるのは、大きな出来事です。
がんを攻撃対象と認識しているT細胞を培養
米国ではTILが悪性黒色腫に対して承認されました。一次治療ではなく抗がん剤や免疫チェックポイント阻害剤を使用した後ではありますが、免疫細胞療法が公的に承認されたことは、大きな意味があるでしょう。免疫細胞療法は現在、国内では多くが自由診療として行われ、正直、玉石混淆な状態です。真っ当な治療が行われている反面、僅かな採血で行う効果の疑わしい治療も横行しており、それが一部の標準治療しか頑なに認めない医師が、十把一絡げに批判するための格好の材料になってきました。TILとはがんの中に浸潤しているT細胞(免疫細胞の一種)であり、がん細胞を攻撃する対象として認識しています。これを患者自身から採取し、大量に培養して、再び点滴で戻すことによって、がんを叩くわけです。免疫細胞療法といえば既に承認されているCAR-Tは、何千万円もの薬価がつけられています。T細胞を患者から採取し、遺伝子を改変し、がん細胞を認識し易くするという複雑かつオーダーメイドの工程を経るからです。これに対してTILは、T細胞という比較的培養が容易な細胞を使うからか、薬価だけなら何十万円という金額に収まるという長所があります。自らの免疫でがんを叩くわけですから、これから先、様々ながんへの応用も期待出来そうです。
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