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2023-11-14

P-THP

P-THPは、故前田浩熊本大学名誉教授が開発したがんの新薬です。ピラルビシンという既に特許の切れていた抗がん剤に、高分子のポリマーを結合させることで、正常な組織の血管の隙間は通過出来ず、それよりも広いがん組織の血管の隙間は通過出来ます。そして、この高分子ポリマーは、酸性の環境ではピラルビシンと分離するのですが、がん組織周辺は、がん細胞の老廃物で酸性度が高くなっています。がん細胞は正常細胞よりもエネルギーを消費するため、ブドウ糖を盛んに吸収しすますが。ピラルビシンにはブドウ糖に似た分子が繋がっており、がん細胞は間違えて吸収してしまうのです。薬を必要なところに適切に送り届ける仕組みをドラッグデリバリーシステムといいますが、がんにおいては狙い撃つことが、正常細胞への影響による副作用を防ぐ上で重要です。P-THPはこのようなドラッグデリバリーシステムを使うことで、古典的な抗がん剤でがんを狙い撃つ新薬でした。

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