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2023-06-12

T細胞のがん細胞への攻撃を抑制するがん細胞の代謝物を発見


新たながんの免疫治療の端緒となる発見かもしれません。

アポトーシスしたがん細胞が放出

がんと免疫は常に拮抗した状態であり、がんの勢いが勝れば進行していきます。そして、がん細胞は、様々な手段で免疫の攻撃を抑制することがわかっています。近年、がん治療の有力な選択肢となったオプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤は、がん細胞がT細胞(最も数の多い免疫細胞)の免疫チェックポイントに作用し、異物への攻撃を出来なくしてしまうという働きを阻害し、免疫によるがんへの攻撃を回復させます。今回、東京大学先端技術研究センターのグループは、がん細胞がT細胞の免疫応答を抑制する代謝物を分泌していることを発見しました。腫瘍の中ではがん細胞が盛んに分裂・増殖を繰り返していますが、不完全な血管の形成によって酸素や栄養が不足しているため、多くのがん細胞がストレスにさらされてアポトーシスに至ります。この時にオンコメタボライト(がん細胞の代謝物)としてスペルミジンを放出し、これがT細胞の免疫による反応を邪魔していることがわかったのです。逆に考えれば、このスペルミジンの作用を阻害するという機序で、新たながん治療が確立される可能性があります。

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