2022-05-20
がん治療の個別化の行き着く先
がんを原因から見てみると、遺伝子と免疫のふたつに集約されます。
遺伝子から見たがん治療の個別化
我が国のがん治療は、基本的に部位別の標準治療として確立されてきました。しかし、なかなかがんで死亡する患者が減少せず、がんを個々に異なる病気として考えるようになり、ゲノムの解析が進んだことを背景に、個別化医療が推進されています。がんは遺伝子の変異が積み重なって、異常な細胞が生まれて、それがどんどん増殖していった結果です。そこで、個々に遺伝子の異常を明らかにして、それに対応する治療を行うようになりつつあります。例えば肺がんひとつとっても遺伝子の異常によって様々なタイプがあり、それに基づいて開発された分子標的薬が登場しています。
免疫が回復すれば、どんながんでも有効
がんは遺伝子の病気といえますが、一方で免疫の病気ともいえます。免疫が十分に機能していれば、異常な細胞は排除され、がんに進行することはありません。加齢やストレス、病気、不摂生など様々な理由で免疫が低下し、生き延びたがん細胞がどんどん増殖していった結果ががんです。また、がんは大きくなるにつれて、免疫を激しく抑制します。そう考えると免疫を目覚めさせることは、どんながんにでも通用する個別化の対極にある治療といえるでしょう。がん治療が本当に目指す先はそこなのかもしれません。
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