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2021-09-29

転移がなければがんで亡くなることは少ない


がんは出来るだけ小さくしたい、取り去りたいと思うのは当然ですが、がんをコントロールして共存するという考え方もあります。

がん以外の原因で死亡するほうが多いがん

神経内分泌腫瘍は、ホルモンなどを分泌する神経内分泌細胞に由来する希少がんです。細胞の分化度が高い神経内分泌腫瘍(NET)と、細胞の分化度が低い細胞内分泌がん(NEN)に分けられ、前者は進行が緩やかで、転移も比較的少ないという特徴があります。カナダのトロント大学などのグループによる研究ではこのNETの患者は、転移がない場合、長期生存が可能で、がん以外の原因で死亡することが多いことが明らかになっています。また、多臓器に転移があったとしても進行が緩やかなので、がんの大きさやがんによって分泌されるホルモンなどの分量をコントロールすることで、QOLも向上させられるとコメントしています。さらに、NETを手術で切除するなどの手段をとらなくても、リスクを勘案した上で、がんをコントロールして共存する考え方も示唆しています。これは何もNETに限った話ではなく、がんは進行して浸潤・転移するから厄介なのです。がんを無理に縮小、消失させて、手術などで負担をかけるよりも、がんがそれ以上大きくならないよう、上手に共存ししていくのも、ひとつの患者としての方向性といえます。

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