2022-03-14
光を当てて、がん細胞を自死させる新たな治療
がん細胞を自死させる治療と壊死させる治療では、周囲への影響が異なります。
細胞はアルカリ性になると、自死に誘導される
光免疫療法が昨年から保険適用になりましたが、それとは異なる光を使ったがん治療が、岡山大学のグループによって開発されています。がん細胞の中にアーキロドプシン3という蛋白質を合成する遺伝子を注入し、アーキロドプシン3を合成した状態で、波長550nmくらいの緑色光を当てると、アーキロドプシン3はそれに反応して、細胞の外に水素イオンを排出します。これによって細胞内はアルカリ性になり自死に誘導されるのです。光免疫療法では活性酸素や熱で細胞を傷つけて殺す壊死であるのに対して、自死は細胞が自然に崩壊していくため、周囲への影響や副作用が少ないと考えられます。まだ動物実験の段階ではありますが、有効性は確認され、新たな治療としての実用化が期待されています。
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