2022-03-01
前立腺がんで亡くなった西郷輝彦さんが受けたPSMA治療とは?
去勢抵抗性といって悪性度の高い前立腺がんと闘っていた西郷輝彦さんは、渡豪して特殊な放射線治療を受けていました。
通常、行われるホルモン治療が奏効しなかった
前立腺がんで闘病中であることを公表していた俳優の西郷輝彦さんが亡くなりました。前立腺がんは男性のがんとしては最も多いのですが、概ね進行が緩やかで、年齢や症状によっては治療をせず経過観察のみになることがあります。5年生存率も97.5%と高くなっています。但し、西郷さんの場合は去勢抵抗性といって悪性度の高いタイプでした。前立腺がんは、男性ホルモンの影響で進行し、男性ホルモンを抑制する治療が行われますが、去勢抵抗性の場合、それでも進行してしまいます。2011年に最初に前立腺がんと診断された西郷さんは、前立腺を摘出する手術を行いましたが、2017年に再発し、昨年には渡豪して、国内では未承認の放射線治療(PSMA治療)を受けています。
体内でがん細胞を狙って放射線を照射
PSMA治療は、前立腺がんの細胞が特異的に発現しているPSMAを抗原として目印にすることで、抗体と結合させた放射性物質のルテシウムを送り込みます。ルテシウムは微量の放射線を発生し続けることで、がん細胞のみを狙って叩くことが出来ます。通常、放射線は体外から照射するため、患部の周辺への副作用が避けられません。また、目に見える腫瘍が対象となりますが、注射でルテシウムを体内に送り込むPSMA治療は、がん細胞を効率よく狙える上に、腫瘍として見えない大きさのがんまで叩けます。西郷さんは治療後、目に見えるがんは消えたのに、腫瘍マーカーの数値が上昇したと、SNSでコメントしていましたが、既に前立腺以外の部位に広く転移していたのかもしれません。
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