オプジーボの特許料の配分を巡る訴訟が和解
僅か数年で医薬品売上高のトップに立ったオプジーボ。その生みの親である本庶佑氏が、特許料の配分を巡って、小野薬品工業と訴訟になっていました。
従来の抗がん剤とは異なる作用機序
たった5年で一番売上の大きい医薬品になったオプジーボ。時々、キイトルーダと順位が入れ替わりますが、作用機序も効果効能もほぼ同じ競合製品です。従来の抗がん剤が、がんを対象として叩くのに対して、これら免疫チェックポイント阻害剤は、がんが抑制している免疫を回復させ、免疫によってがんを攻撃します。そのオプジーボの生みの親である本庶佑氏が、特許料の支払いで係争になっていた小野薬品工業と和解しました。オプジーボの製造販売元はBMS、そして最初に開発していた小野薬品工業は日本などの営業権を持つと同時に、特許料が支払われます。本庶氏には1%が支払われているのですが、当初の約束は40%だったと揉めたのです。
特許料請求の目的は、研究のための基金設立
この研究が評価され、ノーベル賞に輝いた本庶氏。研究のための基金を作りたいという動機がありました。冒頭に書いたように、爆発的に売上が伸びたオプジーボ。数年前には高額との批判を受け、ルールを変更してまで、薬価を見直され、今では当初の4分の1とかに下げられました。それでもなお売上トップなのです。揉める経緯は、当事者と神のみが知るところですが、ともあれ本庶氏への特許料の支払、基金への出資と相応の金額で落ち着いたようです。オプジーボは、一時期持て囃されたように、決して「夢の新薬」などではありません。奏効率は1割とか2割。オプジーボが作用するのは、がん免疫では脇役でしかないT細胞だからです。また、自己免疫疾患のリスクもあります。実は、この薬の最大の功績は、日本のがん医療を免疫主軸に舵を切らせた、多くの方にそう周知させたことかもしれません。本庶氏の基金からオプジーボを凌ぐような新薬が誕生することを願って止みません。