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2018-03-09

CAR-T療法は固形がんに効果があるのか

米国では血液のがんの治療薬として承認され、話題になっているCAR-T。一方、山口大学のグループが、マウスを使った実験で、CAR-T療法の固形がんに対する効果を確認したとの発表がありました。

CAR-Tでほぼ全てのがんが消え、生存期間も延長
米国では血液のがんの治療薬としてCAR-T(キムリア)が承認されました。画期的な治療であれば、様々な固形がんの治療にも活用したいところです。そして、先日、山口大学の研究グループがマウスを使った実験で、固形がんに対する効果を確認したとの発表がありました。T細胞の遺伝子を改変し、がん細胞の表面にある蛋白質と結合する分子と、T細胞を活性化するインターロイキン2とCCL19 を導入したCAR-Tを、ヒトの肺がんなどの細胞を移植したマウスに投与したところ、ほぼ全てのマウスでがんが消え、生存期間が4か月以上に延びたのです。治療後に再びがん細胞を移植しても増殖せず、マウス自身の免疫細胞も活性化しました。

患者の体内とマウスの体内は全く異なる環境
とはいえ、この実験結果で固形がんにも効果があると考えるのは早計でしょう。T細胞はがん細胞を攻撃しますが、膨大な数のタイプがあり、それが一致した時しか攻撃しません。また、がん細胞を認識して攻撃しているのではなく、標的があった場合に攻撃しているに過ぎません。正常細胞であっても攻撃することはありえます。キムリアはがん化したB細胞をCAR-Tによって叩くのですが、目印となるのは正常なB細胞にも存在するCD19という蛋白質です。正常細胞まで攻撃してしまうことによる副作用を覚悟した上での治療なのです。CAR-Tにがん細胞を攻撃させるのは、何を目印にするのか、標的を認識させる必要がありますが、がん細胞にのみ存在し、がん細胞を特定する目印となる物質は存在しません。これがCAR-T療法を固形がんに活用する際の課題といえます。しかし、マウスの体内となると話が違ってきます。異物であるヒトのがん細胞を認識することは可能ですから、固形がんを消失させるといった結果は想定出来るのです。

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