2021-03-15
肝臓がんのTACEと分子標的薬の順番を入れ替えて奏効
化学療法が奏効しづらい肝臓がんには、様々な治療が開発されてきました。
肝臓は沈黙の臓器
肝臓は沈黙の臓器といわれ、不調があってもなかなか自覚症状が出ません。そのため、肝臓がんは進行した状態で見つかることが多く、予後がよくない原因になっています。また、肝臓は解毒を行う臓器なので、抗がん剤の効果が出にくいという問題もあります。近年、幾つかの分子標的薬が開発されるまでは、有効な化学療法がないに等しく、がんをラジオ波で焼いたり、がんを狙って、抗がん剤を注入したり、がんに栄養や酸素を送り込む動脈を遮断して兵糧攻めにしたりする治療が行われてきました。
TACEの治療は肝臓に負担が
現在でも肝動脈を塞栓するTACEは、広く行われていますが、化学療法と併用する場合、まずはTACEを行い、その後に分子標的薬を投与するのが一般的でした。しかし、TACEは肝臓の正常な部位にも負担を与えるため、肝臓が弱った状態で、さらに化学療法を行わなければならないという欠点がありました。そこで、近畿大学の工藤正俊教授は、分子標的薬のレンビマを投与し、その後にTACEを行うよう、順番を入れ替えて治験を実施し、改善を確認しました。この治療はLEN-TACEシークエンシャル療法と呼ばれ、多発や大型の進行した肝臓がんが対象となっています。
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