2020-04-09
「最高のがん治療」とは何か?
標準治療だけでは進行がんの征圧は困難です。この現実にはもっと真摯に向き合うべきです。
標準治療を補完して、最高の治療に
標準治療原理主義者という形容をしたくなるような医師が書いた本が出版されました。世界中のがん治療を検証し、最高のがん治療とは何かを探した結果だそうです。要するに大規模な臨床試験の結果で選ばれた標準治療が最高であり、代替医療などとんでもないというのがその内容です。確かに標準治療は科学的根拠に基づいた優れた治療です。それを否定するつもりはありませんが、標準治療ではがんで亡くなる方が減らないから、患者は標準治療以外に望みを託すのだということを、こうした標準治療原理主義者は謙虚に受け止めるべきでしょう。標準治療は、それだけでは進行がんの征圧は困難です。標準治療の限界を保険診療外の治療を含めて補完してこそ、最高のがん治療になり得るのです。
優れた治療なら保険適用になるという妄言
標準治療=保険適用の治療となるには、膨大な費用をかけて、臨床試験を行い、データを集める必要があります。がんの新薬では数千億円の開発費は当たり前で、それが近年の薬価の高騰の一因です。製薬会社は慈善事業をやっているわけではありませんから、採算のとれそうなことにしか投資しません。ひとつの製品に何千億円も投資出来る製薬企業は、世界でも数えるくらいしかないでしょう。 どんなに優れた治療でも費用をかけなければ保険適用にはなりません。 標準治療原理主義者が口癖のようにいうのは、優れた治療なら保険適用になっているという妄言ですが、それは制度上、無理な話なのです。
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