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2020-03-17

進行が遅いがんには何もしないという選択

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治療するだけががんに対する対処ではありません。

どんな治療にも副作用がある
現代医学ではがんは手術や放射線、抗がん剤でなくしてしまうことが治療になります。がんが大きければ、がん細胞が多ければ、それだけ体の様々な機能を邪魔したり、生命を維持する妨げになったりする可能性が大きくなるからです。しかし、どんな治療にも副作用があります。

手術で切除した部位は、基本的に元には戻りません。放射線は患部だけでなく正常な部位に当たります。抗がん剤はがん細胞だけでなく正常な細胞にも作用します。本来、治療はこうした副作用を考えた上で、受けるべきかどうかを判断すべきです。目に見えるがんは消えても、その後のQOLが著しく低下したり、再発や転移のリスクが高くなったりしたのでは本末転倒だからです。

進行の遅い前立腺がんに対する監視療法
例えば男性の前立腺がんは、進行が緩やかで、国立がん研究センターが発表した10年生存率は94.5%と、主要な16のがんの中では最も高い数字です。前立腺がんは加齢とともに発症し易くなります。悪性度が低く、浸潤や転移の可能性が小さいのであれば、年齢やQOLの観点から判断して、何もしないという選択はありうると思います。手術や放射線による治療はどうしても排尿障害などを引き起こします。

もちろん、経過をしっかりと観察しながら、何かあれば積極的な治療を行う「監視療法」になりますが、極論すればがんをコントロールしながら生きていければ、負担のある治療を受けるよりも、患者にとっては望ましい選択といえるのではないでしょうか。

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