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2019-08-16

遺伝子による個別化、免疫を重視する標準化

個々のがんに対応するには、標準治療だけでは限界があり、個別化の流れが生まれています。一方、どんながんにおいても征圧の鍵となりえるのは免疫です。

遺伝子の変異に応じて最適ながん治療を
保険診療で行われる標準治療は、基本的にはがんの種類(部位)に応じてどんな治療が行われるか、進行の度合いによってガイドラインが定められています。ひとつひとつに科学的根拠があり、実績を重ねた治療ですが、なかなか標準治療ではがんで亡くなる方が減らず、治療を個別化していこうというプレシジョン・メディシンの考え方が生まれてきました。そして、がんは、遺伝子の変異によって異常な細胞が作られた結果、即ち遺伝子の病気だということが明らかになり、遺伝子の変異に応じて最適な治療を選択しようということになりました。これが、国が推進するがんゲノム医療の実態です。

がんは免疫が正常に機能しなかった結果
一方、がんは免疫の病気ともいえます。異常な細胞が作られても、免疫が正常であれば、迅速に排除され、どんどん増えて、大きな腫瘍になることはありません。免疫の働きが不十分で、がん細胞が生き残った結果が、がんという病気なのです。がん細胞は、自らが生き残るために、免疫細胞を騙したり、免疫細胞から隠れたり、様々なことを仕掛けてきます。がん細胞がたくさん存在し、免疫細胞と勢力争いに勝っている患者の体内では、免疫が極端に抑制されているのです。従って、免疫を目覚めさせることは、がん征圧の鍵といっても過言ではありません。これはどんながんにおいてもいえることです。

免疫重視こそがこれからの「標準」治療
世界のがん治療は既に免疫重視になっています。我が国で行われる化学療法は、いまだに抗がん剤が大半ですが、これは免疫細胞にダメージを与えてしまいます。欧米ではがん細胞に特異的な蛋白質を目印に作用し、がん細胞の分裂を抑制する分子標的薬が主流になっています。分子標的薬の多くは、免疫を刺激する性質があり、免疫が鍵になる治療といえます。保険診療でも分子標的薬は徐々に使えるようになってきましたが、まだ部位が限定されています。分子標的薬、即ち免疫を重視する治療は、作用機序を考えれば、がんの部位を問わないはずです。がんの保険診療は「個別化」に向かっています。それは「標準」とされた治療の限界がきっかけなのかもしれませんが、もっとわかり易く効果的な「標準」化とはどんながんにでも免疫を重視した治療を最優先で行えるようにすることでしょう。

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