進行がんの完治を目指すための情報提供を目的に開設したがんサイダー.infoは、今日で2周年を迎えました。昨日と今日は2周年の節目にこれからのがん治療を語る上で欠かせないふたつのキーワード「免疫」「遺伝子」について解説していきます。
国は「がんゲノム医療」を推進
4月、国の推進する「がんゲノム医療」がスタートしました。全国に中核拠点病院と連携病院を置き、がん患者の遺伝子を調べることで、より効果的な医療を提供するという取り組みです。昨年、一部で2018年度中にはがん遺伝子検査が保険診療で受けられるようになるのではないかという報道がありました。現状、目立った動きはなく、もう少し先の話になりそうですが、遺伝子からアプローチすることで、がん治療を向上させようという方向性は明確です。
がんは、遺伝子の異常が原因
そもそもがん治療において遺伝子に目が向けられるようになったのは、今世紀に入って、ゲノムの解読が実現したからです。がんは、遺伝子の異常で正しい細胞分裂、即ち複製が出来なかった末に、異常な細胞が増えて、悪性の腫瘍が大きくなるという病気です。 標準治療の柱となる三大療法(手術・放射線・抗がん剤)は出来てしまったがんを対象にして、それを排除しようという治療です。しかし、がんは進行すると、細胞の単位で散らばり、標準治療だけでは完全に排除出来ません。目に見える範囲のがんを取っても、再発や転移のリスクがあり、それが標準治療の限界なのです。がんによる死亡者は増える一方です。そこで、そもそものきっかけである遺伝子の変異から対処していこうというのががんゲノム医療の目的です。
遺伝子の異常を把握すれば、治療が絞り込める
遺伝子がどのように異常なのかを把握出来れば、
がんの性質がわかります。
抗がん剤や分子標的薬が効くか効かないかの見通しが立つわけです
。効かない薬を除外出来れば、
副作用だけに苦しむことはなくなります。また、
がん患者にとって貴重な時間を無駄にすることもありません。
現状のがんゲノム医療を端的にいうと、
がんの原因である遺伝子の変異を把握し、
効果的な治療を絞り込むということになります。
まだ遺伝子でがんが治るとはいいきれない
とはいえ、中核拠点病院の間でも足並みが揃っているとはいえません。それぞれが実施してる遺伝子を解析する手法は統一されていません。また、保険診療を目指しているのは同じでも、まずは先進医療として実施している医療機関もあれば、既に承認申請を行った企業もあります。また、将来的には不足している遺伝子や異常な遺伝子を外から補って、がん細胞を細胞死に誘導したり、増殖を防ぐ治療が行われることは考えられますが、現状、幾つかの医療機関が提供している治療は、明確なエビデンスや科学的根拠に欠けているといわざるをえません。
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