これからのがん治療のキーワード1 免疫
進行がんの完治を目指すための情報提供を目的に開設したがんサイ
「夢の新薬」のブームは徐々に下火に
2年前、
オプジーボの登場で免疫の重要性が周知されるように
とはいえ、オプジーボの登場によって多くの方が、
従来の抗がん剤と異なるオプジーボの作用機序
その一例ががん細胞による免疫抑制です。免疫細胞の一種・
がん免疫の主役ではないT細胞の限界
しかし、
標準治療、特に抗がん剤の重篤な副作用など、治療としての限界が周知されるようになり、「免疫」という言葉が持て囃されている感はあります。しかしながら、欧米ではがん細胞に特異的な物質を目印に働き、分裂・増殖にストップをかける分子標的薬が、抗がん剤よりも主流になっています。がんが大きくなるのは、薬で食い止め、後は免疫がいかにがんを排除するかになりますが、分子標的薬の多くはADCC活性といって免疫細胞の働きを刺激するものが多いのです。国内では欧米ほど分子標的薬は承認されていませんが、がん治療において免疫はもう何年も前から重要なポイントになっていたのです。
直接、免疫で治すわけではないのに「光免疫療法」
ここ最近のもうひとつの話題が光免疫療法です。光に反応して発熱する色素を、がん細胞に集中しやすい抗体に結合させて投与した後に、光を当てることで、熱によってがん細胞を破壊します。がんを効果的に攻撃出来るということで話題になりましたが、抗体は使っているものの、免疫でがんを治すわけではありません。確かにこれによってがん細胞が破壊されれば、体内の免疫細胞に刺激を与えることにはなりますが、それは二次的な話です。要するにこの治療も「免疫」という言葉に踊らされている感が拭えません。
がん免疫はNK細胞あっての話
がん治療にとって免疫を万全に機能させることは不可欠です。特に進行がんとなると対象として攻撃する三大療法では限界がはっきりしているのですから、それしか手段はないといっても過言ではありません。しかし、それは主役であるNK細胞あっての話であり、このところの免疫に関わる治療の話題はいささか筋道を外れているのではないでしょうか。