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2017-03-03

どんどん保険適用が拡大されるオプジーボの真実

4月には頭頚部がんにも保険適用されるオプジーボ。非小細胞肺がんなど様々ながんに拡大されていますが、決してどんながんにでも効く「夢の新薬」ではありません。

4月には頭頚部がんに保険適用の見込み
免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」が頭頚部がんについても保険適用されることになりました。厚生労働省の部会が了承し、4月には正式承認を経て保険適用となる見込みです。最初に保険適用となった悪性黒色腫は、患者が多いとはいえないがんですが、一昨年の暮れに小細胞肺がんにも拡大され、一気に使用が増え、従来の抗がん剤とは全く異なる仕組みであり、既に抗がん剤が効かなくなった患者にも使えることから、「夢の新薬」と持て囃されました。

胃がんや乳がんでも治験が行われている
今回の適用拡大でオプジーボは悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫を含めて5種類のがんに使えることになりました。さらに、胃がんや乳がんでも治験が進められているので、今後も対象となるがんは増えるでしょう。一部でオプジーボは、がん細胞が免疫にかけているブレーキを解除するから、様々ながんに効くという報道や宣伝がありますが、そんなに簡単な話ではありません。

オプジーボが全く作用しないがんは多い
免疫細胞のひとつであるT細胞の表面にはPD-1という物質があります。がん細胞は自らのPD-L1をPD-1と結合させることで、T細胞を機能させなくしています。オプジーボはPD-L1より先にPD-1と結合することで、T細胞ががん細胞によって邪魔をされないようにする薬です。しかし、PD-L1は決してがん細胞に特有の物質ではなく、正常細胞にも存在します。PD-L1が存在する細胞ががん化していった際に、多く発現するといわれています。逆にPD-L1を発現しないがんは数多くあり、仕組みから考えれば、オプジーボは効かないのです。

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