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2018-01-10

話題の光免疫療法は星野仙一さんを救えたか

膵臓がんで亡くなった星野仙一さんは、プロ野球楽天の監督を務め、その後も球団の副会長の職にありました。楽天といえば昨年、話題の光免疫療法を開発する米国のベンチャー企業に投資をし、がん治療の分野に参入しています。

米国では既に光免疫療法の治験が
先日、がんサイダー.infoをご覧になった方から、星野仙一さんは膵臓がんで亡くなったが、光免疫療法を受けたら治ったのではないかというお問い合わせがありました。星野さんはプロ野球楽天の監督として2013年に日本一に輝き、監督を退いてからも、球団の副会長を務めていました。そして、楽天といえば米国で光免疫療法を開発するベンチャー企業に投資をし、がん治療の分野に本格的に参入しています。光免疫療法は米国でもまだ治験が行われている段階ですが、星野さんほどの方であれば経済的なことを含め、様々な制約をクリアすることは不可能ではなかったでしょう。また、現役時代も監督時代も相手が強ければ強いほど闘志を剥き出しにして戦った方ですから、膵臓がんという厄介な相手であっても、よい治療があると知れば、諦めることなく試してみた可能性はあります。

抗体任せの光免疫療法には限界が
実際に星野さんが受けた治療については、本人と関係者以外は知る術がありません。そして、がん細胞をピンポイントで叩けるということで大きな話題を呼んだ光免疫療法とは、楽天という接点があるというだけの話です。仮に星野さんが光免疫療法を受けたとしたらどうであったか──あくまで推測ですが光免疫療法だけで劇的な回復が出来たかどうかは疑問です。光免疫療法は、既存の抗体医薬品(アービタックス)に光に反応する色素を結合させて投与し、がん細胞に色素を取り込ませます。その後、近赤外線を当てることで、色素を発熱させ、がん細胞を破壊します。しかし、抗体医薬品はがん細胞に特有の物質を抗原として反応しますが、現状では全てのがん細胞に共通の抗原は見つかっておらず、全てのがん細胞にこの色素を行き渡らせることは不可能なのです。今後、アービタックス以外の抗体医薬品でも光免疫療法が試されると思いますが、現時点では全てのがん細胞を網にかけることは出来ないのです。

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