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2017-11-30

がん治療と免疫について正しく知る必要性

オプジーボの登場などでがん治療における免疫の重要性が知られるようになりました。しかし、正確でない情報が流れることで、患者が正しい治療を選択する機会を奪っています。

免疫ががん治療の鍵だという理解が深まる
がん治療の鍵が免疫であることが、かなり周知されるようになりました。対症療法でしかない手術・放射線・抗がん剤では進行がんを克服出来ない上に、抗がん剤の重い副作用がQOLを低下させることなどが問題視される中、オプジーボが「夢の新薬」として登場したことは背景にあるでしょう。オプジーボは、がん細胞が抑制している免疫を回復させる働きがあり、抗がん剤が効かなくなった患者にも使えるからです。

オプジーボは「夢の新薬」などではない
オプジーボが話題になることで、がんと免疫についてさらに理解が深まり、患者はより適切な治療を選択出来るようになるのかという期待がありましたが、なかなかそのようには進展していません。オプジーボが回復させるのは、がん免疫の一部に過ぎません。免疫細胞の中では主役とはいえないT細胞に対して、がん細胞が邪魔をしている状態を解除するに過ぎません。また、抑制から解き放たれたT細胞は、正常細胞を攻撃することもあり、それが自己免疫疾患などの深刻な副作用を招く恐れがあります。それにもかかわらず一部の医師などはオプジーボが免疫療法の真打のように持ち上げているのです。

悪貨が良貨を駆逐しているがん治療
それどころか、最近のメディアはオプジーボ以外の免疫療法を完全に否定するような論調です。巷に横行する「免疫療法」を標榜する治療には、効果が疑わしく、法外な費用のかかる似非治療が少なくありません。しかしながら、米国で開発されたLAK療法を発展的に洗練させたANK療法のように、確たる科学的根拠があり、多くの患者を救っている治療は少なくありません。悪貨が良貨を駆逐しているのが現状ですが、それによって救われる患者が救われる可能性を失っているのは嘆かわしいことではないでしょうか。

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