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2017-08-16

双方が極論に走るがん治療論争

標準治療原理主義とでもいいたくなるような医師、それに対して標準治療は余命を縮めるだけだから効果がないという医師。がん治療に関する議論はとかく双方が極論に走りがちです。

標準治療が批判されるの治らないから
標準治療については長い間、その是非が論じられています。抗がん剤のつらい副作用が周知され、さらにそれに拍車をかけたのは、近藤誠医師のがんは放置せよという著作でしょう。なぜ、標準治療が批判されるかというと、進行がんになると患者を救えないからです。手術や放射線では目に見える局所のがんしか取り除けません。全身療法の抗がん剤でも全てのがん細胞は排除出来ません。また、薬剤耐性が出てくるので、いつまでも使えるわけではありません。撃ち漏らしたがん細胞を免疫が抑え込めなければ、やがて再発や転移に繋がります。副作用に耐えながら、延命を続けた結果、使える抗がん剤がなくなり、緩和ケアくらいしかやれることはなくなってしまうのです。

標準治療以外、全てを否定してしまう一部の医師
一方、標準治療以外にもがん治療は数多くあります。標準治療で完治しないのだから、生きたい、元気になりたいと思う患者が、様々な治療を摸索するのは当然でしょう。とはいえ、その中には素人が見ても、医学的根拠を疑わざるをえない治療や、医師がやっているにもかかわらず効果の期待出来ない治療があります。こうした治療が批判の対象になるのは当たり前です。お金を無駄にするだけでなく、時間が勝負のがん治療において貴重な治療機会、即ち時間まで奪ってしまいます。しかし、標準治療以外にも医学的な裏付けやエビデンスのある治療はあります。問題は、一部の医師がこうした真っ当な治療まで十把一絡げにして否定し、標準治療以外はまかりならんと断じていることです。標準治療もそれ以外も選択肢のひとつ
無責任なメディアが煽った結果、手術は嫌だ、抗がん剤は使いたくないと頑なな姿勢を崩さない患者は増えてきました。しかし、がん治療の基本は標準治療です。がんを叩く力は一番強い反面、副作用もあるということです。そこを踏まえて、適切に標準治療を受ければいいのです。そして、撃ち漏らした細胞単位のがんをどうするのかについては、それを補完する治療を組み合わせることが出来ます。頭が痛いのは、標準治療の限界が明らかであるにもかかわらず、それ以外を絶対に認めようとしない医師がいることです。患者にとって医師は大きな影響力があります。そこで標準治療以外を否定することが、患者にとって大きな可能性を消してしまうことかわからないのでしょうか。がん治療は双方が極論に走りがちです。しかし、それは患者にとって何の利益にもなりません。標準治療もそれ以外も全て患者にとっては選択肢のひとつ。その中から完治を目指してベストな選択を出来るようにするのが、医療のあるべき姿ではないでしょうか。

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