オプジーボや競合であるキイトルーダの肺がんでの奏効率は2割程
度だといわれます。キイトルーダを抗がん剤と併用することで、
この奏効率を55%にまで飛躍的に改善する処方が、
米国で承認されました。
オプジーボ、キイトルーダ単独での奏効率は約2割
オプジーボが処方される患者が最も多いのは肺がんですが、奏効率は2割程度といわれます。オプジーボは我が国で最初に承認された免疫チェックポイント阻害剤ですが、今年になって競合製品であるキイトルーダも保険適応になりました。オプジーボが抗がん剤の後でしか使えないのに対して、キイトルーダはファーストラインから使えるなどの違いはありますが、米国では抗がん剤との併用でオプジーボと同程度の約20%から55%にまで改善するという処方が、米食品医薬品局から承認されました。
キイトルーダと抗がん剤の併用で奏効率が55%に
肺がんの6割以上を占める非扁平上皮がんの患者に、アリムタ、カルボプラチンの2種類の抗がん剤をキイトルーダと併用したところ、腫瘍が30%以上縮小した割合が55%に上りました。この処方は最初から行え、肺がんの細胞がPD-L1を発現しているかどうかを調べる必要はありません。国内でも免疫チェックポイント阻害剤と抗がん剤、あるいは複数の免疫チェックポイント阻害剤の併用は臨床試験が行われており、この使用法は早ければ来年にも承認される見通しです。
奏効率だけで治る薬かどうかは判断出来ない
しかし、がん細胞が免疫細胞の働きを抑制している状態を打破しようというのが、免疫チェックポイントの阻害剤の仕組みです。抗がん剤(殺細胞剤)は免疫細胞も攻撃して、ダメージを与えます。免疫チェックポイント阻害剤と抗がん剤の併用はアクセルとブレーキを同時に踏むようなやり方であり、奏効率が飛躍的に上がった理由については詳らかにしてもらいたいところです。また、この場合の奏効率はあくまでも腫瘍の縮小した患者の割合です。過去、我が国の抗がん剤の治験で腫瘍の縮小した患者の割合を奏効率の基準にしたところ、薬は効いた(多くの患者で腫瘍は縮小した)けれども、副作用で延命に関しては逆効果になったということがありました。何をもって効いた、効かなかったと定義するのか、しっかりと見ていく必要はあります。
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