美容外科でシワの除去に使われるボトックスで、胃がんの進行を抑えられる可能性があるということで、ノルウェーで研究が進められています。
微量の猛毒で神経を麻痺させる
ボトックスというと美容外科でシワを除去する際に用いられることで知られています。ボツリヌス菌の成分を注射するのですが、ヒトでは1kgに対して1μgが致死量に相当する猛毒です。この猛毒を僅かな量だけ使うことで、顔面の神経を麻痺させて、シワを伸ばすのです。また、筋肉の痙攣を抑える際に用いられることもあります。このボトックスが胃がんの治療に活用出来るのではないかということで、研究が進められています。
神経を遮断すると、胃がんの進行を抑えられた
胃がんが進行する過程において、神経が大きな役割を果たしているのではないかということで、胃に繋がる神経を、切断、もしくはボトックスで遮断したところ、マウスを使った実験では、進行を抑えられることがわかりました。この治療がヒトに対しても有効であるかどうかは、ノルウェーで研究が進められています。内視鏡でボトックス注射を行うだけなので、患者にとっては従来の治療よりも負担が軽いといえます。とはいえ、胃に繋がる神経を遮断して、どのような影響があるのかはまだ不明であり、今後の研究の成果を待ちたいところです。
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