放射線は照射するだけではなく、飲むことでがん治療に用いられます。あまり知られていませんがこの放射性医薬品は保険適応になっており安全で効果の確認された治療です。
放射性物質ががん細胞を内側から破壊
がんの放射線治療には体の外から患部に向けて照射する以外にも、放射性医薬品といって微量の放射性物質を服用して、体の内側からがん細胞を叩くやり方があります。放射性物質を体の中に入れるというと怖いイメージがありますが、極めて微量であり、半減期が短いので心配はありません。特定のがん細胞にのみ吸収されるようにした放射性物質を服用すると、がん細胞を内側から破壊します。放射線の照射が空爆だとすると、一対一の白兵戦であり、正常細胞には影響を与えないというメリットがあります。また、全身に行き渡ることで、転移したがんや転移の芽となるがん細胞まで攻撃することが可能です。
放射性医薬品を扱う医療機関はまだ少ない
この放射性医薬品についてはあまり知られていないのが実情ですが、骨転移の痛みを抑えるストロンチウム89、甲状腺がんに対するヨウ素131、前立腺がんに対するラジウム223などは保険適応になっています。効果も安全性も確認され、医療費の大きな負担なく受けられる治療なのです。周知も普及も進まない原因は、専門の医療機関が少ないことにあります。患者によっては治療を希望しても、1年以上待たされることさえあります。日々、進行するがんの治療には、スピードが求められます。優れた治療が誰でも受けられるよう、体制やの整備が待たれます。
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