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2016-09-14

8.真贋入り混じる免疫細胞療法の見分け方

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手術・放射線・抗がん剤の三大療法に次いで第4の治療とまでいわれるようになった免疫細胞療法。研究が進み、症例も増えていますが、真っ当な治療もあれば、効果があるのか首を傾げざるをえないような治療も行われているという現状があります。

免疫の主役はNK細胞
免疫の要「NK細胞」は体内に侵入・発生した異物を、迅速に発見し排除します。細菌やウイルスはもちろん、体内で発生し、異物と判断しづらいがん細胞であっても見逃すことはありません。免疫細胞の中ではT細胞のほうが圧倒的に数が多いのですが、がん細胞を標的とするように指令を受けて学習をしなければ、攻撃を開始しないのに対して、NK細胞は最初から認識と攻撃の働きを備えています。それが「NK(ナチュラルキラー)」と呼ばれる理由です。

NK細胞は増殖すると活性が低下
自らの免疫細胞を増強し、がんを制圧する免疫細胞療法においても、主役はNK細胞となります。幾つかの医療機関が「NK細胞」の名前を冠した治療を行っています。ところが、実際にはほとんどの免疫細胞療法がNK細胞の力を発揮しきれていないのが実情です。NK細胞には非常に培養が難しく、増殖すると活性が落ちていくという問題を解決出来ていないからです。

免疫細胞療法の原点はLAK療法
現在、行われている免疫細胞療法は、概ね米国のLAK療法が原点といえます。患者からどんどんリンパ球を採取し、インターロイキン2で免疫を賦活させて戻していくという治療ですが、本格的に増殖が始まって、活性が低下しないうちに戻すことで、問題をクリアしていました。とはいえ、それだけ強い治療であり、副作用などの負担の大きさや莫大なコストの面で実用化には至らなかったのです。免疫細胞療法の課題は活性の高い十分な量のNK細胞を確保出来るかどうかに尽きます。

NK細胞の量と活性は十分か
多くの「NK細胞」の名前を冠した免疫細胞療法は、申し訳程度の採血でリンパ球を採取し、培養と免疫刺激を加えた後に、体内に戻しているに過ぎません。数日間、採血と点滴を続けるLAK療法と比べれば、その量は雲泥の差があります。また、適切な技術で培養を行わない限り、NK細胞の活性は増殖するにつれて低下しますから、どれだけの量を体内に戻したとしても無意味なのです。免疫細胞療法は進行がんを制圧する唯一の現実解といえますが、このような劣化版LAK療法が数多く存在しているという事実があります。

関連記事:免疫細胞療法の原点「LAK療法」
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