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2016-07-04

早期がんと進行がんはどう違う?

Doctor examining a lung radiography周囲に浸潤したり転移したりしていない早期がんは、取れれば治ると期待出来ます。一方、進行がんの治療はひと筋縄ではいかず、標準治療は実質的に延命治療になります。

浸潤が進んでいれば進行がん
早期がん、進行がんという言葉は聞いたことがあると思います。では、その違いをはっきりご存じでしょうか。がんという病気は固形がんの場合、徐々に大きくなっていきます。その広がりがまだある基準まで達していないのが早期がん、その基準を超えていれば進行がんになります。この広がり方を浸潤の度合いといいます。

早期がんは概ねステージIIまで
胃がんや大腸がんを例にとると、がんが発生したところの粘膜内にとどまっていて、筋層(筋肉組織)まで浸潤していないのが、早期がんに当たります。粘膜に出来たがんが筋層を超えて浸潤していれば進行がんです。がんの進行の度合いはステージで示されます。ステージはがんの種類ごとに違いますが、概ねII期までは早期がん、III期以降が進行がんに該当します。

進行がんには全身療法が必要
早期がんと進行がんには大きな違いがあります。まず、標準治療で期待出来る生存率が異なり、ステージが進むほど、治療成績は落ちていきます。早期発見、早期治療が勧められるのはそのためです。治療の仕方や効果も大きく変わります。早期がんは手術や内視鏡術で切除出来たら、それだけでも治癒を期待出来る場合が少なくありません。しかし、進行がんではそうはいきません。体のどこかに転移が疑われるため、目に見える範囲で取れても、再発を警戒しなければなりません。全身療法が必須で、標準治療なら通常、抗がん剤を使うことになります。

進行がんは標準治療では治せない
さらに切実な違いもあります。標準治療では早期がんは治る見込みのあるがん、進行がんは治る見込みの低いがんとされます。全身にがん細胞が散っている進行がんには、有効な全身療法が必要です。しかし、標準治療には全身に散ったがん細胞を根絶出来る全身療法はありません。抗がん剤はがん細胞だけを見分けて殺し尽くす薬ではないからです。進行がんとの闘いの厳しさは早期がんの比ではありません。

完治を目指す免疫細胞療法
進行がんの患者が保険診療機関で標準治療を受ける場合、医師は最終的には治せないという前提で、いかに長く生きてもらうかを目的とした治療を行うしかありません。他方、標準治療になっていない先端治療の中には進行がんを完治させる目的で開発された免疫細胞療法などもあります。しかし、まだ保険適用の体制が整っていないなどの理由から、患者自身が医療費を全額負担する自由診療で受けるしかないのが現実です。

進行がん=末期がんではない
言葉上の意味だけで「早期がんの反対は末期がん」だから「進行がんといえば末期がん」と考えるのは誤りです。末期がんは医学的には定義が明確でない言葉です。しかし、一般には治療法が尽きて、治る見込みがなく、余命が数箇月以内のがんを指しています。因みにホスピスに入院する患者さんの余命は概ね3箇月以内です。進行がんでも治療方法があるうちは末期がんではありません。そして、取り組み方次第で完治は望めるのです。

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