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2016-07-05

ステージから余命を判断する

ステージがんの余命を判断するのは難しく、絶対的な基準などはありません。ステージ別の5年生存率を見れば、過去の他人の傾向はわかりますが、それは自分のデータではありません。

1cmのがんになるまでには早くて数年
がんは時間とともに進行していく病気です。しかし、私たちはその発端を観察することは出来ません。現在の検査技術は、がんが1cm以上の大きさに成長してはじめて発見出来るレベルです。直径1cmの腫瘍は10億個程度の細胞から出来ています。体内に生まれたがん細胞が、分裂を繰り返して、その大きさになるまでには、早くても数年、遅ければ10~15年の期間がかかると考えられています。

がんが見つかってからの成長は速い
何年もかけて育ってきたがんが、やっと見つかった時、私たちは「早期がん」と呼びます。ここで油断してはいけないのが、がんはいつまでも同じ大きさで止まっていないということです。そこから倍の大きさになるには、通常、何年もかかることはありません。仮にがん細胞が同じ速さで倍々に増えていくとすると、増殖スピードはぐんぐん加速していくからです。早期治療はそういう意味でも重要なのです。

II期までが早期がん、以降は進行がん
がんの進行度合いを示す指標としてステージ(病期)があります。がんの出来た部位によって微妙な違いはありますが、概ね0期を初期として、I期からII期までが早期がん、III期とIV期が進行がんに分類されます。このステージはがんの大きさだけで決まるわけではありません。腫瘍が生まれた粘膜から飛び出して、近くのリンパ節に転移しているか、がん細胞が遠くまで転移しているかなどが目安になります。転移していると考えられるのが進行がんです。

ステージが進むほど治りにくい
がんは一般に発生した粘膜内にとどまっていて、手術で取り去ることが出来れば、かなりの確率で治ります。従って、早期がんの生存率は高くなります。進行がんの場合、がん細胞があちこちに散って生き延びています。それらが成長を続け、やがて再発と診断される場合が多いのです。基本的にステージを示す数字が大きくなるほど、がんは治りにくく、再発頻度が高く、生存率は低くなっていきます。

5年生存率は標準治療の結果
がんの種類別に公表されているデータを探し、該当するステージを参照すれば、誰でも身近ながんの5年生存率を知ることは出来ます。その数字をもって自分や身近な患者の余命を予測することは出来るかもしれません。しかし、5年生存率とはあくまでも他の患者が受けた標準治療の成績であることを忘れないほうがよいでしょう。個々の患者は自分の行動や治療選択によって数字の呪縛から離れるべきです。

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